『底』解説:過食嘔吐の前に行う食事の準備

目次

  1. 過食嘔吐と底
    1-1. 『底』とは
    1-2. 『底』が過食嘔吐にどのように作用するか
  2. 底作りに適している食べもの
    2-1. よく底食材とされる食品
    2-2. 底にぴったりな神食材
    2-3. 食べる順番から意識する
  3. 食べる順番と底作りのコツ
  4. 底作りは過食嘔吐を加速させる危険信号

1-1. 『底』とは

過食嘔吐を行う人が過食前に行う「底」作りとは、過食行為を行う準備として、特定の食べ物を最初に摂取することを指します。「底」に適した食品食材は、過食後に嘔吐で体外に排出されやすくなるようにするために消化が遅い食材などを選びます。

摂食障害のセルフチェックリストはこちら

1-2. 『底』が過食嘔吐にどのように作用するか

消化の遅延
底作りで摂取される食品は消化が遅いため、摂取した食物が胃に長く留まります。これにより、過食時に摂取した他の食品も胃で混ざり合い、嘔吐時に一緒に排出されやすくなります。

嘔吐をしやすくする
底作りに使用される食材が胃の内容物を滑りやすくすることで、喉を通りやすく嘔吐が比較的簡単になると考えられます。特に、固形物よりも粘性のある食品や液体の方が嘔吐しやすいため、底食材はそのような食品が選ばれます。

③過食初めの心理的な準備
底食材は過食に対する心理的な準備にもなります。過食嘔吐を行う人は、底食材から食べ始めることで過食によって摂取する食品からのカロリーを抑えたり、嘔吐しやすくしようとすることで、過食行為に対する「準備」や「ルール決め」を行っています。

食道の保護
喉を通りやすい滑らかな食物を食べることで、嘔吐の際に食道を傷つけないようにする作用があります。

2. 底作りに適している食べもの

2-1. よく底食材とされる食品

底作りは、食べ物の吸収を遅らせる為、または嘔吐の際に吐きやすくなるよな食材、消化に時間が掛かる食材が好まれます。底食材として選ぶときは下記のポイントを抑えましょう。
カロリーが低い(もし消化してしまっても低カロリーなので安心できる)
とろとろ、ねばねば。喉を通りやすい潤滑油的な食材
消化が遅く、カロリーが低い食材

過食嘔吐のほとんどは吐くことを前提として食事をしているので、万が一、消化吸収してしまっても低カロリーで安心できる食材が選ばれます。また嘔吐を誘発しやすい特徴がある食材も同様に底食材とされることが多いです。

2-2. 底にぴったりな神食材

トマトやサラダなどの生野菜
(消化吸収も遅く血糖値の上昇も抑えてくれる神食材。色が付いていると嘔吐の際に完吐きできたか目安になる。)
納豆、山芋、オクラ、めかぶ
(ねばねばした食材は嘔吐の際に他の食材も一緒に混ざって一気に吐き出しやすい。納豆、オクラは消化にも時間が掛かるため底食材とされることが多い。)
わかめ、昆布などの海藻類
こんにゃく、白滝、春雨
(海藻やこんにゃく系は低カロリーかつ消化に時間が掛かるため底食材とされやすい食品です)
寒天ゼリー
(ゼロカロリーゼリーなどカロリーも摂取せず、なおかつ過食衝動の際の甘味欲求にも対応できる。種類も豊富。)

私自身はまず生野菜から食べ始めることで、食後の血糖値の上昇を抑えていました。その後、納豆を底食材として嘔吐の際の目印としたりし、ねばねばで喉を通りやすくする潤滑油の役割をさせていました。どうしても他の食材の消化吸収をしたくなかったので底食材と言われる食材をなるべく何種類か先に食べていました。

2-3. 食べる順番から意識する

一般的なダイエットでも、いくつかの理由によって生野菜から食べ始めることが推奨されているのと同じように、過食嘔吐の底食材も食べる順番を意識することはおすすめです。
生野菜から食べ始めるメリットは下記の通りです。

食物繊維の摂取増加
野菜は食物繊維が豊富です。食事の始めに食物繊維を多く含む野菜を摂ることで、満腹感を早く感じることができ、結果として全体のカロリー摂取量を減らすことが出来ます。
血糖値の上昇を抑える
生野菜から食べることで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収を遅らせ、血糖値を安定させる作用があります。
消化を助ける
野菜には消化を助ける酵素や栄養素が含まれており、食事の消化過程をスムーズにします。
健康的な食習慣の促進
野菜から食べることを習慣化することで、自然と野菜摂取量が増え、栄養バランスのとれた食事につながります。

底作りと同時に健康的な食生活を促進することも意識してみましょう。野菜を先に食べることは、過度なカロリー摂取を防ぎつつ、必要な栄養をしっかりと取り入れることもできるのです。

3. 食べる順番と底作りのコツ

それでは具体的にどの順番で食事を進めるのが最もいいのか、食べる順番ダイエットでも注目された食事の進め方を紹介します。

野菜から食べる
食事を始めるときは、生野菜やサラダ、または蒸し野菜から始めましょう。これにより、満腹感を感じやすくなり、全体の食事量が自然と減ります。
タンパク質を次に摂る
野菜の次には、魚や肉、豆腐や納豆などのタンパク質を摂るようにします。タンパク質は満足感を高め、筋肉の維持や増加にも役立ちます。
炭水化物は最後に
米やパン、パスタなどの炭水化物を食事の最後に摂ることで、食べ過ぎを防ぎ、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
水分を適切に摂る
食事中に適量の水またはお茶を飲むことで、さらに満腹感を得やすくなります。
咀嚼を意識する
よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、過食を防ぐことができます。

過食嘔吐の激しい過食衝動では、糖質の高い食材や高カロリーの食品から食べたくなってしまいますが上記のポイントを意識することで少しでも丁寧な過食嘔吐を心がけてみましょう。

4. 底作りは過食嘔吐を加速させる危険信号

摂食障害の中で「底食材」を考え始めることは、症状が深刻化している兆候です。
底食材を極めることは過食嘔吐をする際に非常に大切なルーティンになりますが、同時に症状が悪化しやすい状態であるということを理解しなくてはなりません。
底食材をいくつか紹介しましたが、消化吸収や吐きやすさは個人差が大きくあります。さらに食材の好き嫌いにも大きく影響されます。
私は吐きやすい食材や底食材を検索したり試すようになってから過食嘔吐の頻度が増えました。
そもそも治療法ではなく、何を食べたら太らないのか、どんな食べ物が吐きやすいのか、と考えているうちはなかな治療には至れません。底食材の探求は摂食障害の治療を進めるものではなく、むしろ摂食障害を悪化させる要因となります。

過食と嘔吐のサイクルは、食道の炎症、胃酸による歯のエナメル質の損傷、電解質不均衡、栄養不良など、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
底食材についていくつか紹介しましたが、その実態は摂食障害の深刻な状況で悪化や慢性化の危険信号だということをまずは理解しましょう。