今日は摂食障害を抱えたまま妊娠出産した話ついて書いていきたいと思います。
摂食障害でも妊娠出産はできるの?と不安に感じている摂食障害の方へ。
摂食障害を抱えながら妊娠し出産することは、不安や葛藤、我慢の日々ではありますが、決して難しいことではありません。体重が増えお腹が大きくなっていく自分を許容し、妊娠中の食事をコントロールしなくてはならない期間は大変ですが摂食障害を理由に諦める必要はないと思います。
妊娠期間を通して徐々に母親になりお腹の子どもと妊婦である自分へ愛情を抱くことができる貴重な経験となるはずです。
摂食障害を抱えながらこれから妊娠や出産を経験される方、摂食障害を理由に妊娠出産を躊躇している方、摂食障害の当事者だけでなくご家族の方にも、なにか前向きなメッセージで不安を軽減できたら幸いです。
- 摂食障害というハイリスク妊娠
拒食症の場合のリスク
過食症の場合のリスク
共通のリスク - 妊娠前と妊娠後の摂食障害の症状
妊娠前の症状
妊娠後の症状 - 妊娠中どのように摂食障害と向き合ったか
- 摂食障害で妊娠出産するということ
- 妊娠出産からポジティブなエネルギーを取り込む方法
- 摂食障害でも幸せな妊娠出産生活は送れる
摂食障害というハイリスク妊娠
摂食障害を持つ女性が妊娠・出産をする際、母体と胎児の両方に高いリスクが伴うことが知られています。摂食障害の種類(拒食症、過食症、過食嘔吐など)や症状の重さ、そして妊娠中の栄養面や健康管理をどの程度までコントロールできるかによって、出産に関連するリスクは変わってきます。
◆拒食症の場合のリスク
低体重: 摂食障害による過度の体重減少や栄養不足は、妊娠中の体重増加が不十分となり、低体重児出産のリスクを高めます。
早産: 栄養状態が悪いと早産の可能性が高まります。
胎児発育不全: 胎児の成長が妊娠期間において遅れる可能性があります。
◆過食症の場合のリスク
妊娠糖尿病: 過食による過体重や肥満は、妊娠糖尿病のリスクを高めます。
高血圧症候群: 妊娠中毒症とも呼ばれる高血圧症候群の発生率が高まり、これは母体と胎児に重大な影響を及ぼすことがあります。
◆共通のリスク
栄養不足: 摂食障害による栄養不足は、母体の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、胎児の健康にも影響します。
メンタルヘルスの問題: 摂食障害は精神的な健康問題であるため、妊娠・出産期におけるストレスや不安が増大し、これがさらに摂食障害の症状を悪化させる可能性があります。
妊娠前と妊娠後の摂食障害の症状
摂食障害になって10年以上経ち、過食嘔吐が慢性化し日常的に食べては吐くという行為を繰り返していました。妊娠前と妊娠後での摂食障害の症状の変化です。
妊娠前の症状
- 休みなく、ほぼ毎日一日一回は過食嘔吐をしていた
- 生理不順があり基礎体温も安定していなかった
2,3か月来ないこともありました。婦人科にも通わず、生理不順は放置していた。妊活は意識していなかったが長期的な健康管理として基礎体温を付けていた。 - 超えてはいけない体重へのこだわり
自分では超えていけない絶対の体重ボーダーラインがあった。体重が超えると朝食、昼食で調整をしてバランスを取りながら夕食に過食嘔吐をしていた。 - 食事へのこだわり
朝と昼ごはんは決まった食事のみ。朝はプロテイン、フルーツ(バナナ、リンゴ、プルーン)、昼はおにぎり一つとブロッコリー、冷凍から揚げ2つ。職場へお弁当を持参、月~金まで毎日同じメニュー。
妊娠後の症状
- 妊娠8週目から出産後10か月ごろまで過食嘔吐ストップ
嘔吐する際にお腹を押したり負担が掛かる姿勢をとるため辞めました。嘔吐を我慢して14日(2週間)は過食嘔吐への禁断症状が出る。 - 体重の増加による苦痛
妊娠後、マックスで12キロ体重が増えました。赤ちゃんが元気に育っている証拠でも体重計に乗る恐怖心は消えない。少しでも体重を増やさないで出産したい気持ちが常にあった。 - 食事の変化
バランスの良い食事を心がけたが、食べると吐きたい気持ちが出てしまい食事の時間が辛くなることも多々。
妊娠後に過食嘔吐を辞められたことは自分でも驚きでした。気持ちをスムーズに妊婦生活へシフトできると以外にもピタリと嘔吐行為を辞めることが出来ました。
また、妊娠中の体は日々変化していき、出産までに女性の体は様々な変化があります。つわりや妊娠中の体調の変化で過食嘔吐や過食をしばらく辞めることが出来る可能性は高いです。
妊娠中どのように摂食障害と向き合ったか
妊娠出産という未知の領域において、摂食障害を抱えようがなかろうが、大きな不安を感じることは間違いありません。妊娠出産自体が人生の大イベントで不安だらけです。
摂食障害のまま妊娠してもその不安は変わりません。
そして人生が期待通りに進まないことは再三分かっていること。
そうであれば、妊娠出産も同じように、心配しても仕方ないこと。と意外とあっさりと受け入れることが出来たのは日頃の摂食障害に対しての向き合い方が出たのかもしれません。
妊娠出産は女性への負担が大きいのは明らかです。摂食障害を抱えながら妊娠出産することは日常生活での負担やストレス、プレッシャーを今より何倍も膨れ上がらせる可能性があります。
摂食障害を治すために通院をし、そこで担当医からの助言を受けてからの妊娠出産が好ましいのかもしれませんが、妊娠は授かりもの。予定通りにはいきません。
体重がどんどん増え、まるまるとした妊婦になる自分を許容できたのは、お腹の中で元気に育っている赤ちゃんを産科で確認できたから。
家族や友人が生まれてくる赤ちゃんを楽しみにしていてくれたから。
摂食障害を抱えたまま母親になる事への不安は胎動を感じた時、少しだけ軽くなります。
高カロリーのものを食べて嘔吐したくなっても、赤ちゃんのエコー写真が気持ちを穏やかにしてくれます。
そううした妊娠ライフが摂食障害の一番の治療になることもあるのです。
特別なことをした訳ではなく自然と、妊娠し体内で赤ちゃんを育てることが摂食障害である自分に打ち勝ってくれたように思います。
摂食障害で妊娠出産するということ
摂食障害で妊娠・出産するということは、母体と胎児の両方にとって多くのリスクを伴います。拒食症や過食症、過食嘔吐など、さまざまな症状と環境下で妊娠中の身体と心に与える影響は大きく異なりますが、いずれにしても十分な注意とパートナー、家族や専門医からのサポートが必要です。
妊娠出産からポジティブなエネルギーを取り込む方法
ここまでお話した通り摂食障害を抱えたまま妊娠出産をするという事は簡単なことではありませんが、摂食障害の経験を強みに変えて妊娠出産へ立ち向かうことが出来ます。
摂食障害の症状が出てしまっても、出産後に赤ちゃんをお世話する幸せな生活をイメージして気持ちを切り替えましょう。妊娠や出産、育児に関するポジティブな情報を得ることで、知識が増え、立ち向かう自信にもつながります。出産準備クラスや育児クラスに参加するのもおすすめです。同じような境遇の人と出会い、情報交換や共感を得ることができますし、いまの自分は摂食障害ではなく妊婦なんだ、と心を立て直すこともできます。
妊娠出産を通して自己受容を身に付けることで摂食障害を克服する経験値を積むことが出来るのです。
摂食障害でも幸せな妊娠出産生活は送れる
出産後の幸せな生活をイメージして妊娠期間を過ごしましょう。
妊娠出産はとても幸せなことです。その幸せを疑うことなく受け止める勇気を持つこと。
摂食障害を抱えたままでも妊娠し出産することはできるのです。