摂食障害とは?初心者向けにやさしく解説

目次

  1. 摂食障害の基本定義
  2. 摂食障害の原因
  3. 拒食症
  4. 過食症
  5. 過食嘔吐
  6. 摂食障害になりやすい人の特徴(性格特徴)
  7. セルフチェックリスト

摂食障害の基本定義は、食事の摂取や体重、体型に対する過度の関心が強迫的な行動や思考につながり、個人の身体的、心理的健康に深刻な障害をもたらす精神障害です。
摂食障害は食事に関する行動が極端かつ異常になり、体重や体型への見方に異常な執着を置くことで、心と体の健康に深刻な影響を及ぼす病気です。
食事量を極端に少なくしたり、逆に過度に食べ過ぎたり、食べた後にわざと吐いたりするなど、さまざまな症状があります。代表的な症状として、神経性やせ症(拒食症)、神経性過食症(過食症)、過食性障害(過食嘔吐、過食症の一種)があります。
摂食障害は特に10代から20代の若い女性に多いとされていますが、それに限らず、どの年齢層、性別にも発症の可能性があります。日本では年間約21万から24万人が摂食障害の疑いで医療機関を受診しており、さらには治療を受けていない人や治療をやめた人も多いため、実際には40万人近い人がいると考えられています。

摂食障害は成長や社会生活に大きな支障をきたすだけでなく、身体的な合併症を引き起こし、時に命に関わるリスクも伴います。また、他の精神障害や糖尿病などと合併することもあり、早期発見と治療が非常に重要な病気です。

摂食障害:神経性やせ症(AN)と神経性過食症(BN) | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
厚生労働省のガイドラインです。ご参考までに

2.摂食障害の原因

  • 遺伝的要因: 摂食障害は遺伝的な要素が関与することが示唆されています。家族内に摂食障害の人がいる場合、その他の家族メンバーで摂食障害が発生するリスクが高まることがあります。
  • 心理的要因: 低い自己評価、完璧主義、感情をコントロールする手段として食べ物を使うなどの心理的問題が、摂食障害の発生に影響を与えることがあります。
  • 社会文化的要因: 社会やメディアによって作り出される「理想的な体型」に対する圧力や、美の基準が摂食障害を引き起こす要因となることがあります。
  • 家族や人間関係の問題: 家族内の対人関係の問題、親の態度や行動、さらにはトラウマや虐待の経験が原因となることもあります。
  • 生物学的・化学的要因: 脳内の神経伝達物質のバランスの乱れや、栄養不足が摂食障害の発症に関係している可能性が指摘されています。
  • 環境的要因: ストレスが多い環境や変化の多い生活状況は、摂食障害を発症するリスクを高めることがあります。

摂食障害は、これらの原因がとても複雑に影響し合いながら発症するため、個人ごとに症状が異なることも特徴です。ですのであくまで要因のひとつであり、摂食障害を抱える全ての人に当てはまるわけではありません。正確な原因を特定することは難しく、医療機関では慎重に原因を探ることが必要とされています。

3.拒食症

体重を極端に減らすことに執着します。強迫的に自分を追い込み体重を減らす摂食障害です。拒食症の人は、常に自分が太っていると感じ自己否定を繰り返します。食事の摂取を厳しく制限し、痩せているにもかかわらず、太っていると思い込み、常にダイエットを続ける傾向があります。重大な栄養不足に陥り、女性の場合は月経が止まるなどの身体的な問題が起こることもあります。治療には、心理療法、栄養療法、時には入院が必要になることもあります。

4.過食症

コントロール不能な過食の発作を繰り返します。過食スイッチと呼ばれる強い過食衝動によって過食が抑えられず、過食の後には過度な運動、下剤の乱用などで代償行動を行います。また、過食症は、自己嫌悪、うつ病、不安障害を引き起こしやすく、更にその不安を埋めるために過食を繰り返す傾向があります。過食症の治療は心理療法や行動療法を中心とし、薬物治療が用いられることもあります。

5.過食嘔吐

短期間で大量の食べ物を食べる過食行動の後で嘔吐し体重を増加させないようにする行為を繰り返します。チューイングや嘔吐は、拒食症、過食症よりも慢性化しやすく、長期的に身体にストレスを与えます。肥満や心臓病、糖尿病などの健康問題が生じるリスクが高まります。


6.摂食障害になりやすい人の特徴(性格特徴)

  • 完璧主義者: こだわりが強く完璧主義で、頑張りすぎてしまう人。何事にもこうでなければならない、という思いが強い人。
  • 自己評価が低い人: 自分の価値を評価できず、自己肯定感が著しく低い人。
  • 外見に対して強い関心がある人: 社会の美の基準に敏感で、自身の体型や体重に対して過度に関心を持っている。外見をコンプレックスとしている人。
  • 強迫観念が強めの人: 生活の中で何かをコントロールしなくてはと必要性を強く感じる。
  • 感情表現が苦手な人: 感情を表現することが苦手、または困難な環境にいる人。
  • ストレス発散が苦手、ストレスに鈍感な人: ストレスをそのように発散していいのか分からず、食べ物をストレス解消の手段としてしまう。
  • 社会的引きこもり: 他人との交流を避けてしまう傾向があり、社会的に孤立しやすい人。
  • トラウマの経験: 虐待やいじめ、親からの過度な期待など、心理的トラウマを経験している人。
  • 模倣行動: 家族や友人、メディアの影響で摂食障害の行動を真似る。
  • 精神疾患の併存: うつ病、不安障害、強迫性障害など、他の精神疾患を併せ持っていることがある。

7.チェックリスト(セルフチェック)

  • 食事量や内容に対する過度の心配: 日常的に食事の量やカロリー、栄養バランスに強い不安を感じる。
  • 体重や体型に対する過剰な関心: 鏡を見ることや体重計に乗ることに異常なほど時間を費やし、自分の体型や外見に不満を持っている。
  • 食事制限の実行: 体重を減らすために極端な食事制限をすることがある。
  • 過食の発作: コントロールできないほど大量に食べてしまい、その後に罪悪感や恥ずかしさを感じる。
  • 食べた後に意図的に嘔吐する: 食べた後に罪悪感を感じ、嘔吐して体重増加を防ごうとする。
  • 過度の運動: 体重管理のため、または食事後にカロリーを消費するために過度に運動する。
  • 社会的活動からの撤退: 他人との外食など食事が関係する社会的な場を避けるようになり、友人や家族との対人関係が悪化している。
  • 食事の秘密主義: 食事を一人で密かに取るようになり、食べる量や食べた内容を他人に打ち明けられない。
  • 食事や体重に関する強迫観念: 食べ物や体重に関する考えが常に頭から離れず、日常生活に何らかの支障をきたしている。
  • 身体的な変化の自覚: 月経不順、消化不良、睡眠障害など、食行動の変化に伴う身体的な問題を感じている。

性格特徴とセルフチェックはあくまで例えですが、該当数が多く当てはまる場合は摂食障害の疑いがある可能性が高いので注意してください。

摂食障害について簡単に説明をしましたが、摂食障害の症状は個々に異なり非常に複雑であるため、自己判断せずに専門家の意見を求めることが大切です。
その他、摂食障害について様々な記事を書いておりますので読んでみてください。

摂食障害と前向きに闘う方法-ポジティブに過食嘔吐と生きる – 摂食障害を抱えながら妊娠、出産、母になりました。摂食障害17年目のリアルな話。摂食障害と共に生きるポジティブな方法を追求していきます。 (kasyoku-plus.com)