拒食症の症状~拒食症のリアルな実体験話~

拒食症とは体重を極端に減らすことに執着し、強迫的に自分を追い込み体重を減らす摂食障害の症状の一つです。常に自分が太っていると感じ、痩せることに固執し、自己否定を繰り返します。食事内容を厳しくルール化し、痩せているにもかかわらず、太っていると思い込み、常に食事や体重を厳しく管理し減量を続ける傾向があります。

筆者は摂食障害になり十数年が経過しました。現在身長167センチ、体重は50kg周辺を2kgほど増減し、ふらふらとしている状態で安定していますが、拒食症のころは体重は38kgまで落ちました。
この記事では実体験を含めて拒食症について説明していこうと思います。

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目次

  1. 拒食症の症状
    1-1.食事の拒否や極端な食事制限とルール
    1-2.体重の減少と栄養失調
    1-3.体型、体重に対する異常な執着
  2. 実体験に基づく拒食症のリアル体験談
    2-1.拒食症の人の食事とは
    2-2.拒食症の人の考え方と奇行の数々
    2-3.拒食症が及ぼした精神的、身体的な影響
    2-4.拒食症になってからの人間関係
  3. 拒食症のスティグマと理解
    3-1.スティグマとは
    3-2.摂食障害の一般的な理解
  4. 拒食症の治療法
    拒食症についての関連記事
    おわりに

食事の拒否や極端な食事制限とルール

食事の拒否太ることへの恐怖から食事を全く摂らなくなったり、極端に少ない量しか摂らなくなります。一日に摂取するのは数百カロリーに抑え、高カロリーの食品や炭水化物、糖質脂肪が多いメニューや食品を完全に避けるようになります。
極端な食事制限とルール自分で決めた厳しい食事ルールがあります。決まった時間のみ食事をする、特定の食品以外は食べない、決まった順番で食べる、食事の準備に異常に時間をかけ摂取時間に30分以内に食べるなど制限する、といったものがあります。これらの細かな制限やルールは、個人によってそれぞれ異なりますが、本人が体重や食事に対するコントロールを感じるひとつの重要な手段となっていることが要因です。

体重の急激な減少、栄養失調の兆候

過度な食事制限により短期間で体重が急激に減少します。いくら痩せても太っていると感じてしまうため、痩せすぎて健康的な体重が維持できなくなります。長期にわたる食事制限により栄養失調を引き起こし、身体の不調も伴います。例えば、疲労感、筋力の低下、冷え性、皮膚の乾燥、髪の薄毛や抜け毛、内臓機能の低下が見られます。女性では、月経が不規則になったり、無月経になることもあります。また合併症として精神的障害を引き起こす場合が多くあります。

体型、体重に対する異常な執着

鏡を見る行動一日に何度も自分の体を鏡でチェックすることがあります。自分の体型に対する不満と不安を確認し、自分は太っている、痩せなければならない、など意思を固める行為に繋がります。太ることへの恐怖心を自ら煽ることで痩せ願望を強くしていきます。
体重計の使用一日に何度も体重を計る行動に表れることがあります。体重が少しでも増えたことを確認すると、過剰な運動やさらなる食事制限をしなければ気が済まなくなります。体重のわずかな変動にも過敏に反応し、それが太ることの恐怖心を引き起こす原因となります。

2.実体験に基づく拒食症のリアル体験談

拒食症の人の食事とは?

拒食症を経験する中で、私が日常的に食べていた食品は、極力カロリーを抑えたものばかりでした。ここでは、その時期に頻繁に摂取していた食品をいくつか紹介します。

無糖のコーヒー: コーヒーには利尿作用があり、それを利用して体重を減らすためによく飲んでいました。カフェインの効果で一時的に空腹感を紛らわすこともできます。
生のおからまたは豆腐: 非常に低カロリーで、カロリーゼロの甘味料を加えて少しの甘みをつけることで食べやすくしていました。タンパク質もある程度含まれているため、栄養源として選んでいました。
豆乳プロテイン: 一日に一食を豆乳プロテインに置き換えることで、カロリーを大幅に削減していました。筋肉の維持に必要なタンパク質を確保しつつ、全体の摂取カロリーは抑えていました。
ガム: 長時間ガムを噛むことで、空腹感を感じることなく過ごせる日もありました。食べたい欲求を抑える対処法でした。
カロリーゼロの飲料や食品: カロリーゼロのジュースやゼリーで空腹感を満たすようにしていました。味があるものの、エネルギーをほとんど含まないため、体重増加の心配がありません。
温野菜: キャベツやブロッコリー、人参など、カロリーが低い野菜を中心に摂取していました。調味料を使わず、そのまま食べることが多かったです。

拒食症の考え方と奇行の数々

拒食症になると日常生活が食事と体重管理に支配されるようになります。ここでは、私の実体験で、拒食症がどのように日常の行動や思考に影響したかをお話しします。

ほぼ24時間食事と体重のことばかり考えていました。体重計には一日に十回以上も乗り、0.1kgの増減に一喜一憂し、自分の許容範囲をわずかに超えただけでパニック状態に陥りました。それを解消するために、さらなる食事制限や過度な運動を課すことになります。

運動に対する執着も強く、真夜中に突然ランニングを始めたり、毎朝一駅前で降りて5キロ歩いて出社したりすることもありました。雨の日でも暑い日でも、決めたルールは絶対でした。
さらには、週に一度、15キロの距離を3時間かけて歩いて帰宅していました。
過度な運動は一時的に心を落ち着かせてくれ、カロリーを消費することで安心感に直結していました。
外出中はエレベーターやエスカレーターを使わずに徒歩で。電車の空席に腰を掛けても背もたれを使わずに腹筋をしめたままの状態でいる。歩く時も腹筋を意識して歩く。など様々な細かなルールを決め、1カロリーでも多く消費し、起きてから寝るまでの全ての時間を痩せるための行動に使う生活でした。

食事に関しても極端なルールがあり、他人と一緒に食事をすることができなくなっていました。食事を勧めてくる人に対してはイライラを露わにし、態度に出してしまうことがありました。食べ物自体が敵であるかのように感じ、食事時間は常に苦痛でした。

拒食症は単に「食べない」という問題ではありません。心と体に深刻な影響を及ぼす病気であり、私のように日常生活が完全に病気に支配されることもあります。

痩せていなくては自分は無価値。
太った自分は醜い、恥ずかしい、生きている価値がない。

いつもそう考えて生活をしていました。

拒食症が及ぼした精神的、身体的な影響

拒食のときは37kgまで体重が減りました。38kg、身長167センチの私にとってはかなりやせ細って見えたと思います。
当時の写真をみても、鎖骨とあばら骨が浮き出ていて顔もほっそりというより、げっそりしています。拒食による栄養不足での顔色の悪さもあったと思います。服を着ていれば隠せますが裸は脂肪が減り皮がたるみ、拒食症そのものでした。バストもしぼみます。もともとバストが大きい方ではなかったので更になくなり、いびつで貧相な身体。栄養不足で貧血もひどく、生理も止まりました。半年以上生理は来ませんでした。産婦人科でホルモンの薬を処方してもらい誘発していましたが、産婦人科に通うのも億劫になりほぼ放置。歩くスピードも他の人と比べて遅くなり、周囲への観察力や思考力も低下していたと思います。
筋力の低下からか、尿意を我慢できなくなったこともありました。恥ずかしい話ですが、ある日を境におしっこが我慢できなくなったのです。膀胱にも力が入らなくなっていたんでしょう。自分でも驚きとてもショックを受けたことを覚えています。

拒食症になってからの人間関係

食事制限を徹底し運動を必ずするという厳しいルールを何個も決めていましたので、そのルールが実行できない環境になると、イライラしたり、気分が沈んだりすることがよくありました。元々は温厚な性格だったのですが、拒食症のときの私はまるで別人のように変わっていきました。
友人との外食や家族との共食も避けるようになり、次第に孤立していきます。一人でこっそりと食事をとるようになり、人目を避ける行動が増えました。外食を避けるようになり、友人と食事に行くこともなくなりました。体重が減少していく私を心配して、食事を勧める友人に対しても、イライラして「この人は敵だ」と感じるようになり疎遠になってしまいました。拒食症によって身近な人間関係が少しづつ崩れていってしまうのです。

3.拒食症のスティグマと一般的な理解

スティグマとは?

スティグマとは、社会的な偏見や誤解、レッテルによって生じるネガティブな影響をいいます。
摂食障害を含む精神的な病気に対するスティグマは、なかなか解消されず、一部では差別を増大させることもあり、治療の障壁となることがあります。

摂食障害の一般的な理解

拒食症は、周りからの理解が得るのが困難なことが多くあります。拒食症は「自分でコントロールできる問題」と誤解しており、「なぜ普通に食べられないの?」という反応をされてしまうのです。また、拒食症の人は「弱い」とか「注目を集めたいだけ」、「かまってちゃん」と見られがちです。
このような誤解は、拒食症が単なるダイエットやかまってちゃんではなく、深刻な精神疾患で本人からのSOSであることを見落としてしまいます。拒食症は単に「食べない」という問題ではなく心と体に深刻な影響を及ぼす病気なのです。

4.拒食症の治療法

栄養療法: 栄養士が食事計画を立てて、健康的な体重を取り戻すのを助けます。バランスの良い食事を少しずつ食べることを目的をします。

心理療法: カウンセリングを通じて、食べることや体の形に対する恐怖を乗り越える方法を学びます。この治療は、拒食症の原因となる思い込みや感情コントロールに対応するのに役立ちます。

医療的ケア: 必要に応じて、医師が薬を使ってうつ病や不安を和らげることを目的とした治療です。また、栄養不足からくる体の問題を同時に治療することもあります。


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◆おわりに

拒食症によって痩せた身体は悲鳴を上げていきます。
ですが自分ではその悲鳴に気づけないのが拒食症です。
それどころか更に痩せることへ執着し、太ることへの恐怖心を積もらせるばかり。

拒食症を抱える人が、他者から「食べなさい」と言われる苦痛は計り知れません。ですから、「食べた方がいい」と無理に勧めることはしません。しかし、どうか心に栄養を与えてください。食事のことを一時的にでも忘れて、心を解放できる場所や時間を見つけることが大切です。小さな一歩から始めて、摂食障害と向き合い、少しずつ前に進んでいきましょう。

拒食症の回復は一朝一夕には達成できませんが、自分自身の心と向き合うことから、その第一歩を踏み出すことができます。