摂食障害になって17年以上が経ちました。今回は“過食症”“過食嘔吐”を治すためにしてきたことを紹介していきたいと思います。
一日中運動していた拒食期や、徘徊して食べ物を大量買いしていた過食期や、一日中部屋に引きこもって過食嘔吐していた時期。摂食障害といっても時期によって症状が異なり、同時にその時のメンタル、行動、考え方も全く違っています。
摂食障害の症状は大きく拒食期、過食期、過食嘔吐期の3つに分けることができますが、それぞれ行動や心理パターンが異なり、その時に実施していた対策や行動なども違いますので、ここでは“過食”と“過食嘔吐”に焦点を当てて対策の具体例を挙げてみようと思います。
拒食期に行った対策については『【拒食期】痩せるためにした10のこと(前編)』『【拒食期】痩せるためにした10のこと(後編)』にまとめてありますので合わせて見てみてください。
摂食障害を治すためにした10の事。
ここでは【過食期】と【過食嘔吐期】にした10の事をそれぞれ紹介します。
- 食品の買い溜めをしない
- お金やカードを財布から抜いておく
- 冷蔵庫に細工する
- 心療科を受診する
- 外に出る予定を作る
- 親、友人、同じ摂食障害の人などに自分の症状を話してみる
- 日々の日記を書く
- 趣味を見つける(新しいコミニティーに所属してみる)
- 過食・過食嘔吐を楽しんでみる
- ありのままの自分の心を受け入れる
過食期と過食嘔吐期は、メンタル・行動ともに、心は『食べる』ことに向いているので、行動パターンは似ています。
【拒食期】だけは、『食べない』という全く真逆な思考です。
それは病気を治そうという行動とは真逆の言動ですので、それは今回ではなくまた別の記事で題材を堀探って書きたいです。
『食べる』に目覚め、抑えが利かなくなった毎日の中食べない自分を取り戻すために私がしたこと。
◆食品の買い溜めをしない
過食、過食嘔吐をする人はとにかく買い溜めをします。
過食衝動に駆られ、スーパーやコンビニを徘徊し、一度に大量に食品を買い込みます。
買う衝動(食べたい気持ち)が暴走し、拒食の心から気持ちが解放され、目に見える美味しそうな食べ物をすべて思うがままに買い物かごに放り込む。初めて買い物かごいっぱいに過食の食べ物を買い込んだ時はレジで恥ずかしい気持ちと後ろめたさがありましたが、過食や過食嘔吐を継続的にしていると、買い溜めをする行為に慣れてしまい、堂々と買い物かごいっぱいのお菓子や菓子パンを持ってレジに並べるようになります。最近ではセルフレジもあるので人の目を一切気にせずに食品の買い溜めがしやすくなった様に思います。
そして家に帰って買ってから、買ったものを机の上に並べて罪悪感と高揚感に包まれます。
アイスやデザートが冷蔵庫に入り切らず、お菓子を置いておく場所にはお菓子や菓子パンが置ききれずに散乱するほど買い溜めをしていました。
家族と同居していたときは見つかるのが嫌でクローゼットの中に隠していました。クローゼットを広く使うために不要な洋服は捨て、中はお菓子でパンパンでした。
とにかく買い溜めをすると食べる選択肢しか無くなります。
ですが買わなければ食べれない。
過食衝動の一歩目である「買う」衝動をなんとか抑えることが出来ればいいんです。
極端に何も買わない、何も食べない、という考え方だとまた拒食期に入るだけ。
そうではなくて、買いすぎない、買い溜めをとにかくしない。
どうしても過食したいときも、次に残さないで食べきるように。食べ残すと残っている食べ物に気を取られてまた過食衝動を誘発します。
買い溜めが過食の一歩目です。なんとか買わないように制御しましょう。
ちなみに私は何回か成功しました。
過食したくても、食べる物がない、こんな真夜中に出掛けられない、となるともう諦めるしかないですもんね。
ただ摂食障害時の過食衝動はそれ以上に強烈。
実はそんなことで簡単に過食を抑えられないのは百も承知。
ただ一回でも成功できたら自分を褒めて上げて下さい。
そして翌日はたんまり過食を許しましょう。ご褒美という食べ物解禁時間は大事です。
◆お金やカードを財布から抜いておく
これは買い溜めをしない、と少し似ています。
買い物に行けないようにするために、余計な現金やカード類を落ち歩かないようにしていました。
現金はなるべく銀行へ、カードは財布から抜いておく。
何度も言いますが、過食衝動は物凄く強く押し寄せてブレーキが利かない状態になります。
買い物に行かないように自分を何度も抑えようとはしますが、抑える度に行動は暴走します。
今日は買い物を我慢できたな、と安心しても、気づけば真夜中に24時間スーパーやコンビニにいることはよくありました。
今は便利な世の中なので、24時間スーパーやコンビニで食品はいつでも手に入りますし、
お金だってコンビニのATMで簡単におろせるしスマホがあれば電子マネー決済で済んでしまいます。
食品を買い溜めない、お金を手元に置いておかないなんて事は逆にとても難しいので、
あくまで心構えの一つとして考えてもいいかもしれません。
余計な現金は持ち歩かず電子マネーアプリもなるべくインストールせず、カード等を所持しない。
すぐに出せない場所に閉まっておくか銀行や信頼できる人に預ける。
この作戦は2,3度成功しました。強烈な過食衝動を一瞬我慢するには効果があると思いますので
試してみてください。
◆冷蔵庫に細工する
食べたいときってなぜか冷蔵庫を開けたり締めたりしてしまうもの。
何か食べたいときは冷蔵庫ですよね。
同じように過食に悩んでいる方で、過食対策で冷蔵庫に鍵を付けたと仰っているのをネットで見かけたのがきっかけで私もトライしてみたのですが、
それはすごい!物理抑制の極みだ!と感激した事を今でも覚えています。
鍵を掛けるなんて、過食したくないのにしてしまう自分への戒めのようなものなのでしょう。
気持ちが痛いほど分かります。
実家暮らしの人は、家族に迷惑が掛かるので出来ませんが。
1人暮らしをしていた時は、冷蔵庫の扉にガムテープを貼って封印しようとしていました。
まさしくキッチンスペースへの立入禁止措置です。
例えば冷蔵庫の電源を切ってみたり、鍵を付けてみたり、ガムテープで簡単には開けなくしてみたり…
これはかなり常識から外れてますが摂食障害者さん達にとってはそれほど過食してしまう自分が敵になるときがあるのです。
なんとしても暴走する自分を止めたいがばかりにとんでもないことを考え付くものなのですね。
ガムテープ作戦に失敗したときは、冷蔵庫に過食禁止張り紙をしたりもしていました。
ただ、一瞬の衝動は抑えられても冷蔵庫って生活必需品ですから、過食とかではなくて通常の生活にも支障をきたし過ぎて長くは続けられませんでした。失笑
冷蔵庫に何か細工をして過食衝動を一瞬抑え込んでみるという方法も一つです。
◆心療科を受診する
人によって症状や環境が様々なので、これも参考までに受け取っていいただければいいかと思います。
どうしても過食行為を辞めたくて、神様に頼る気持ちで精神科の門をくぐりました。
自分が摂食障害だという認識はありましたが、それによって精神科医にお世話になることまでは考えていなかったので抵抗もありました。
病院で治るとは考えていませんでしたが、藁をもすがる気持ちでした。
ネットで摂食障害専門の病院なども探しましたが、結局たじろいでしまい、隣駅にある口コミのいい精神科医へ行きました。
男性医師の問診、女性カウンセラーとの質疑応答や談笑など。
薬を処方されたとき、「過食衝動で気持ちが辛くなったらこれを飲んでください」と言われて渡された薬。
うつ病の患者さんなんかに処方される薬のようでしたが、過食が我慢できたのは1回。我慢が出来たその1回も大きいですが、当時はやっぱりだめだ。という気持ちになりました。
女性カウンセラーとの話の中で自己啓発的な事がされたようにも思いますが、
病院に行くことにストレスが溜まり、私には逆効果の様でした。5,6回程通院し辞めてしまいました。心療内科でのことはまた別の記事で書こうと思います。
私自身は病院に通うことは諦めてしまいましたが、病院に通い続けなくてはならない理由があったり、
一生懸命に病院で治療をされている方ももちろん多いかと思います。
風邪を引いても病院に行く人、行かない人と様々なように摂食障害の患者さんだって同じですからね。
行く行かないは個人の自由ですが、病気と向き合う手段として専門医に現状を一度相談してみるのもいいかもしれません。
◆外に出る予定を作る
摂食障害、とくに過食気、過食嘔吐期は拒食期に比べて自分の容姿に非常にコンプレックスを抱えています。
過食によって〇〇キロ(〇〇グラム)でも太った自分を見られたくない。
友達に会っても楽しく食事が出来ないからいけない。
会う約束をしても直前で気持ちが沈んだり、過食モードに入ってしまって会えない。
他人から食事を促されると腹が立ってしまう。
どんどん周りの環境から疎遠になり、過食の沼へハマっていきます。
そうなってる人も、そうなる前の人も、
たとえ直前でドタキャンしても、諦めずに予定を立てて下さい。
もちろん、予定決行が出来なかった自分に何度も何度も自己嫌悪して更に症状が悪化して事もあります。なので周りの理解ある友人や家族を頼りながら行いましょう。
ただし無理は禁物です。人と会いたくないときは無理に会わなくていいという事を大前提に実行してください。
どんなに小さな予定でもいいと思います。朝のゴミ出し、家の周りを一周する。些細な外出で気分の変化を観察してみてください。過食用食品を買いに外に出ることも立派な予定です。
外の空気を吸うのは気持ちのリフレッシュにもなりますのでお勧め致します。
◆親、友人、同じ摂食障害の人などに自分の症状を話してみる
誰かに話が出来るってそれだけでほんの少しだけ気持ちが軽くなるときがあります。
私は親には摂食障害の話は出来まていません。拒食症でやせ細った私を見ていますから、もちろん家族は気づいていたでしょう。決して両親と不仲ではありませんでしたが、どうしても自分から話は出来ませんでした。
家庭環境や家族との関係にもよりますが、家族との関係が良い場合は相談してみるのもいいかもしれません。
なかには家庭環境に問題がある人も少なくないのではないかなと思うので、家族に話すことが出来ない場合は信頼のできる友達や恋人もありかと思います。
人に話したくても話せないなら、専門医だったり、今はネットやSNSなんかでも同じ症状の人とコミュニケーションが取れるので試してみるのもいいと思います。
人に話すことで自分を軽くする。
または同じ摂食障害の人の話を聞くことで、自分を違う視点から見ることもできます。
◆日々の日記を書く
文章とはメンタルがある程度落ち着いていないと書けないものです。
日記が書ける状態であるならば、まだ心は生きています。
時には殴り書きだったり、支離滅裂な事だったり、なんでも思いついたことを書き留めておくと、新しい発見があります。
気持ちのアウトプットをすることはとても大切です。自分の気持ちは自分が一番よくわかっているから、そんなことは必要ない。と思うかもしれませんが、人は思っている以上に自分のストレスをよく理解できていません。何気ない愚痴や人との会話でストレスを吐き出していることも多いのです。
言葉や文字にすることを侮らず意識してアウトプットしてください。今の時代であればSNSやブログなんかを利用してみるのもいいと思います。
人に話すことがなかなか出来ない人には日記をおススメします。まずは自分の気持ちをアウトプットすること。
私は過食気の辛い時間、なるべく日記に書いていました。(過食したこと、食べたことの記録として書いたり)
後から読み返すと、随分と荒れているなぁと思いますし、こんなこと考えていた自分がいるんだなぁと後々自己啓発に繋がります。
心の柔軟と思って試していてください。
◆趣味を見つける(新しいコミニティーに所属してみる)
今までとは違う新しいことを取り入れてみること。過食や嘔吐、拒食に執着している自分から少し離れるために、食事以外で楽しめることや夢中になれるものを探してみる。
ほんの少しでも食事の呪縛から逃れられる時間を与えてくれればいいのです。
読書、運動、ゲーム、映画鑑賞、家庭菜園、手芸・・・
ちなみに私はゲームやアニメ鑑賞、ランニング、資格の勉強、読書と色々と試しました。夢中になってうまく過食衝動をごまかしてくれることもありました。
好きなものを通して見つける新しいコミュニティなんかも、新しい自分や価値観を発見できる良い体験ができます。
食事に捕らわれている自分を開放して新しいものや人にたくさん触れる機会を頑張って作ってみることは大切です。
一時的なことかもしれませんが、とてもメンタル的には効果的なアクションになります。そして後の摂食障害克服の種まきになるとも思っています。
もちろん新しいことを始めたからと言ってパタリと過食行動が収まるわけではありません。はっきりと言い切れますが過食行動はそんな簡単には治りません。
新しいことをすることのストレスで衝動が激しくなることもあるでしょう。
ただ、新しいことを考え、アクションを起こせるキャパを自分の中に用意できるようにはなるはずです。諦めずに食事ではない何かに意識を持っていける練習をしてみてください。
◆過食・過食嘔吐を楽しんでみる
死んだほうがましだ!と思う方、ふざけるな!と思う方、いるかもしれません。
でも、すべては考え次第です。
摂食障害は悪ではありません。過食症、過食嘔吐は悪いことではありません。
ほんのちょっとだけでも、ポジティブに考えてみましょう。
理想とした現実と遠く離れてしまって、毎日『食』に縛られ、当たり前だった普通の食事が出来なくなる。毎日過食を繰り返すことしかできない自分。自己否定の毎日。この先に希望も持てない最低な気分。分かりますが病気のせいなのです。
私は食べることは[趣味]という考えになってから、少しづつ過食を楽しむことが出来る様になりました。
過食や嘔吐という行為に対しての罪悪感はありますが、食べることに恐怖心を抱いていたあの頃よりほんの少し楽に生きられる様になりました。
考え方は常に柔軟に、真逆の考えが出来れば人間は強くなれます。
よく、ピンチはチャンスって言いますよね。摂食障害の自分を少しでも前向きに捉えることが出来ないか、考えてみてください。すぐに出来なくてもいいんです。
そんな考え方もあるんだな、くらいに心に留めていてください。
◆ありのままの自分の心を受け入れる
良い感情も悪い感情も全て自分を取り囲む環境から自分の中に生まれます。
それは人間であればだれでも当然なものです。
たまたま私たちはそれが食事行動に出てしまい、摂食障害と名づけられました。
ストレス性障害はほかにもたくさん存在します。うつ病や強迫神経症。
円形脱毛症や胃炎など身体に症状が出る人もいるでしょう。
摂食障害はとても辛い病気です。克服に向けて頑張っているあなたはとても頑張り屋さんです。自分を客観的にみることも大事ですが、擦り切れている心を受け入れてあげられるのはまず自分自身です。
自分を受け入れることは勇気がいることですが、本当に受け入れられた後、心は少し軽くなります。
摂食障害の自分を否定ばかりせずに、自分で自分を受け入れて、優しくなりましょう。
摂食障害でもいいんです。『食』に対してもの凄くストレスを抱えながら生活しているあなたが今のあなたで、呼吸をし今日も生きています。
過食嘔吐していても、食べ物を粗末にしていても、それがあなたの価値の全てではありません。
自分に優しくを心がけてみてください。
以上 わたしが摂食障害と戦う中でやってきた10のことでした。
少しでもご参考になれば幸いです。